中村眼科では白内障手術を開院以来6111眼(2008年 4月1日時点)施行させて頂いています。安全で確実に手術が行われ、視機能向上にお役に立てるよう手術手技、機材の改善、スタッフ教育に努めています。以下に中村眼科における(H20 5月時点)での手術適応の考え方、手順をご紹介いたします。2007年より極小切開といわれる、3mmの小切開よりさらに小さい2.4mm以下の手術創の最小化、オジル超音波装置の併用による、難症例での安全性の確保を取り入れています。
中村眼科で行われる白内障手術は極小切開(#1)といわれる世界最小レベルの傷口しか作らない方法を用いています。
また手術装置は新次元の方式(横方向振動を自由な強さで加えられるトーショナルフェイコ(#2))を身にまとった現時点の日本で使用できる白内障手術装置の内、最高機種のインフィニティー(アルコン社(米国))を使用した手術です。
顕微鏡は高品質で定評があるカールツァイス社製(ドイツ)を用い、また、眼内レンズも折りたたみ可能なアクリルレンズの内でも、さらに小さな2mm前後の切開の極小切開から目の中に挿入可能なレンズ(#3)を使用しています。
手術時に使用した眼内レンズのシリアルカードは患者さまご自身にお渡ししています。(#4)
白内障手術は中村眼科のキーワードである、安心と安全を追求した医療を具現化した一例ですが、さらに進化するためスタッフ一同努力しております。
また、これら高品質な材料 機材のためにかかる費用が患者さまの余分な負担になることはありません。
ビデオカメラによる手術の公開
実際の手術自体も1993年の開院以来 ビデオカメラで実際の手術室の様子と顕微鏡で拡大された手術そのものの様子を 公開して 透明性を確保し 家族の方などが 見守れるようになっています。
注 釈
#1 白内障手術の切開の大きさは様々で
11mm以上 嚢内摘出用切開
11〜6mm 嚢外摘出用切開
5.5mm〜4mm 超音波摘出用切開
3.2〜2.8mm 小切開白内障手術用切開
1.8〜2.5mm 極小切開白内障手術用切開
と分類されていますが、切開幅により、大きな切開ほど手術後の炎症、合併症の発生頻度、乱視化、感染の可能性などが増えることが知られており、切開幅の最小化が白内障手術の進化の度合いのひとつのバロメーターとなります。
#2 従来の縦方向の超音波振動に加え、横方向振動を自由な強さで加えられるオジルパルスシステムは
1.効率よい破砕力を持つ。
2.発熱の危険が少なく 傷口をきれいに保つ。
3.水晶体の安定を保つチン氏帯への障害が少ない。
4.極小切開をスムーズに行えるような器具が開発済みである。
など、多くの長所を備えた白内障手術の新システムとされています。
#3 白内障手術の際に使用される眼内レンズも
5.5mm以上の切開を必要とする、曲げることのできない硬いPMMAレンズ
小切開に対応でき、曲げることのできるアクリルレンズ、シリコンレンズ
アクリルレンズの内さらに負荷価値が高い、極小切開対応アクリルレンズ 非球面アクリルレンズ など、実は素材も価格も様々なのです。
#4 シリアルカードには、レンズのID、大きさ、素材、製造メーカーなどが書いてあり、
製造上後で問題があると判った場合、レンズの度数を後で入れ替える場合などに必要となります。

白内障の項目でも述べていますが、手術の適用は単に視力の数が幾らかによって決まるのではないと開院以来一貫して考えています。もちろん矯正視力、裸眼視力、年齢、余命、他の眼科疾患、全身合併症、水晶体の混濁の程度、本人の性格、家庭環境、通院距離、本人の希望、手術に対する期待度、現実の手術の理解度、合併症の可能性などを多くの要因としてあげることができます。しかし、これらを数学的に多変量解析できるものでもなく、一人一人と誠実に向き合うことで適応を決めていかなければならないと考えています。どんなに技術が進歩しても、ここが一番重要でかつ、難しいところであるのは今後も変わらないのではないでしょうか。
私たちは現在患者さまの置かれている状況の把握に努め、手術の段取り、手技などの説明に努め、手術の適用をご本人、ご家族と一緒に考えて行きたいと思っています。現代の白内障手術では水晶体混濁の除去だけでは決して術後の満足を得られないと考えているからです。白内障手術は進化を止めず、かつての水晶体混濁の除去を目的とした開眼手術から、手術後の度数調整、乱視減弱化を可能にした屈折矯正術同時施行の手術に進化し、さらには、現在老眼克服に向かって進みつつあります。
手術の進化とともに手術後の視機能向上のため、精度を高め手術の質を高める必要があり、 ご理解が伴えば一貫した傾向として、手術はある程度早目に行われるようになってきています。
中村眼科では2003年より 下のような 白内障手術計画書(クリニカルパス クリティカルパス)を 患者様にお渡しして手術を行っています。これは医療の質の向上 情報公開による透明性の確保などを目的にして アメリカで開発されたものですが 白内障の手術には よく適合した考えと思っています。

手術手技は、最新の情報なら色々なところで得られる情報と大きな差はないと思っていますが、施設により、進化の程度は(開眼手術の段階か?屈折矯正併用といえる手術か?乱視軽減が併用できるか?老眼対策が可能なレンズを使えるか?)など差が見られることは事実です。
当中村眼科では、術前検査に用いる機械、手術の際の切開幅、眼内に小さく折りたたんで挿入できる眼内レンズ、乱視矯正術の併用などにこだわりを持って、質の高い視機能が得られるように努めています。2008年4月からは老眼対応の眼内レンズも使用できます。また手術は今後さらに進化していくと考えられますので、確実で良い技術を積極的に取り入れるよう不断の学習が欠かせないと思っています。
一人一人の手術開始の予定時間により来院時間が決まります。午後2時予定の方で12時30分を予定しています。手術前に点眼薬で瞳を拡げた上で、当日の目の状態の詳細な診察を手術を行う院長が行うため、1時40分までには来院して頂くことにしています。
目薬をスタッフがスケジュールに沿ってさしていきます。ご自身で行う必要はありません。更衣室で手術着に着替えた後、目の周りをガーゼで丁寧に拭き、軽い麻酔をして目を十分に洗います。

手術室の準備が整うと、手術室にスタッフが導きます。音楽が流れていますが聞こえる余裕があれば十分です。ベッドに横になり、点滴、心電計、呼吸監視、血液内酸素飽和度測定装置、連続血圧測定装置が装着され、目の周りの消毒を行います。深呼吸をして気持ちを落ち着かせ、手足を軽く動かして、緊張が取れるようスタッフが声をかけてくれます。手術用の目のまわりだけ穴の開いた不織布を被せて、薄い透明のサランラップのような粘着シールを貼り、ばい菌が入らないようにします。シールに切れ込みを作り、機械をはめこんで、更にばい菌を殺す薬が点眼されます。緊張が取れるよう、癒し系の美人のスタッフがそっと手を握ってくれています。

1.角結膜切開

- 点眼麻酔後、白目を5mm切り、更に麻酔をします。これでまったく痛みは感じません。乱視があり乱視の軽減が必要で、可能な方はここで乱視軽減術をまず行います。
その後出血があれば軽く出血部を凝固して止め、2.0mmから2.4mm正確に測って、ゲージ付きのダイヤモンドナイフで0.30mmの深さで切開を入れます。0.5mmの切開を黒目の両端に入れ、細い注射針や器具が入るようにします。ダイヤモンドナイフで2mm中央に向かって主な切開を進めて、切開が線から面になります。2.0mmから2.4mmのステンレスのナイフで切開面の端から目の中に入り口を作ります。切開面は目の中の水が漏れないような鍵のような仕組みになります。
2.前嚢切開
- 粘弾性物質という薬を目の中に入れて目の各部を固定し、水晶体の一番外にある前嚢という膜を、加工された針で切れ間なく直径5.5mmの円形に切り取ります。
3.水流分離
4.超音波乳化吸引
- 2.0mmから2.4mmの小さな切開面から超音波乳化装置の先端を入れます。両脇から目の中に入れた器具と超音波メスを用いて、水晶体の嚢と呼ばれる薄い袋だけを残し、中身を割って溶かし吸引します。当院では、主にフェイコチョプ法、時にデバイド アンド コンカー法というテクニックを用いて、効率よく余分なエネルギーは使わないように心がけています。
水晶体嚢にへばり付いた残りの水晶体を吸引装置で取り除きます。
5.眼内レンズ挿入
- 粘弾性物質という薬を再び目の中に入れて、角結膜の2.0mmから2.4mmの切開面から専用のインジェクターというレンズ挿入装置を用いて、折りたためる眼内レンズを薬の入っている水晶体嚢の中に入れます。薬をレンズの上下から丹念に取り除いて、切開面が鍵の様に働くことで漏れがないことを確認します。
6.術後消毒

- ばい菌を殺す薬で目の表面を消毒し、抗菌剤の眼軟膏を塗って手術は終了します。
7.術後の説明
手術後、眼帯を一回取り、ばい菌を殺す薬でもう一度消毒して、抗菌剤の眼軟膏を塗りなおします。眼帯をした後着替えて、お茶を飲み、薬剤師から薬の説明を受けます。スタッフから手術後の注意点、治療計画の説明を受け、説明書をもらって帰宅となります。
当院では通常手術前に、手術後の屈折度の希望、つまり手術後の眼鏡のある、なし、もしくは眼鏡の度数の希望をお伺いします。もし術後予想と食い違う場合は、希望されれば希望の度数にできるよう眼内レンズの入れ替えが行えます。
また、遠近両用眼内レンズを希望される方は、係りのものが説明いたしますので、お声をかけてください。このレンズは白内障手術後の老眼対策として出ているものですが、保険が効かないため、手術 手術前後の検査、診療を含めて自費となります。
金額は片眼30万円、原則両眼の手術となりますので60万円がご負担となります。レンズ代の仕入れ値が一枚15万7500円もする現状(2008年4月時点)では、リーズナブルな設定とは思いますが、ご負担が多いことは、混合診療ができない日本の医療制度上の問題のひとつであると認識しています。今後の制度改善にも期待して当院では行っています。
合併症は以下のようなものがあります。合併症のみに焦点を当てると、重篤なものから軽度で特に特別な治療を追加しなくても克服可能なもの、予想できるものから予想できないものまで、千差万別と言わなければならないでしょう。ただ、他の手術に比べると頻度はかなり低く、安全性は高い手術といえるとは思います。また、当院では現在日本で入手できる最も合併症が起きにくいと考えられる手術装置、インフィニティー(アルコン社製)を採用しています。それでも合併症が起きた時は、速やかに対処し説明に努めるようにしています。
1 後嚢破損
- 手術中に水晶体の後面が破れること。硝子体脱出を伴って、大きくなるとレンズを眼球に糸で縫いつける必要があることもあります。800例に1例ほど。
チン小体断裂
- レンズを目の中に貼りつけている極小の繊維が、部分的になくなっていたり、弱くなっていてレンズの張りがなくなった状態。男性の方で年少時の喧嘩の外傷によるもの、野球などスポーツのボールの打撲によるものが多く、ある種の緑内障の方も頻度が高いです。手術前に判るものも、判らないものもあります。極く軽いものを含めて300例に1例ほど。
水晶体落下
- 主に1や2の合併症の後、レンズが嚢からこぼれ落ちること。硝子体手術が必要になる場合もあります。3000例に1例ほど。
術後感染症
- 細菌感染が目の中に起こること。まれで2000例に1例ほどですが、早期発見と早期治療が必要です。
黄斑浮腫
- 網膜の中心が腫れて機能低下を起こすこと。軽度でほとんどは回復します。500例に1例ほど。
後発白内障
- 術後しばらくして、レンズの後ろの膜が濁ってくること。外来でレーザーにて濁りを除去します。当院採用のアクリルレンズでは頻度は少なくなってはきていますが、レンズのメーカーによりかなりばらつきがあります。20%ほど。術後定期健診にて発見が必要ですが、治療は短時間で確実にできます。
眼内レンズ度数ずれ
- 眼鏡のレンズの度数が合わないことが、眼内レンズに起こること。当院ではレンズの入れ替えを希望されれば行います。程度によるので頻度は出せませんが、 当院ではレーザーを用いて目の大きさの正確な測定ができ、現在ほとんど起きないといった程度です。
眼内レンズ変位
- レンズが術後に予定の場所にない、または移動すること。時にレンズの入れ替えや位置修正を行う必要があります。定期健診で軽度のうちに発見することが重要です。まれで、1500例に1例ほど。
駆逐性出血
- 予測不能な目の奥の出血。異常な緊張、血圧の変動などが誘引とされますが 多くは原因不明。非常にまれですが、絶対に0%であるとはいいきれません。当院では0%になるようさまざまな工夫をしています。
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